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此処はココの捌け口

音楽とか、ゲームとか、アニメとか、日々思ってることをぐわっと。

「イリヤの空 UFOの夏」レビュー

どうも!

今日家の近くの商店街を歩いていたらデスボを発しながら小学生がチャリを漕いでこちらに向かってきたんですよね

一言で言うと「恐怖」

二言で言うと「恐ろしい戦車」

って感じでした

まさにデスボを発しながら襲いかかってくる戦車のようでした

僕は東京都某区に住んでいるのですが、

某テレビ番組で「東京都内で住みたくない区ランキング」に見事1位に輝いてしまった不名誉な区に住んでいます

そりゃ、小学生がデスボを発しながら徘徊している町に住みたくないですよね

町中がライブハウスみたいだったらそれはそれで面白いかもしれませんが


ってことで今日は本のレビューをしたいと思います

僕は漫画をたくさん読みます

ですが!人並み以上に小説も読むのです

「どうせこいつが読んでるのなんて萌え系ラノベだろ」

みなさんこう思っているでしょう

しかし、僕はあまりラノベは読みません

今僕は「してやったり」という顔をしながらこの文を打ち込んでおります

僕はラノベはあまり読まないのです!

一方、好きな小説家は


(代表作:ペンギン・ハイウェイ、夜は短し歩けよ乙女、四畳半神話体系)

(となりまち戦争、コロヨシ!!、刻まれない明日)

どうですか!

ちょっと見直したでしょう

この程度でドヤ顔する僕は非常に小さい男です

ちょっと悲しくなってきます


そんな僕が今日レビューする本は

イリヤの空 UFOの夏」です

ラノベじゃねえか!!

ラノベです

ですが、僕がほぼ唯一好きなラノベでもあります(六畳間の侵略者!?も好きです)

このラノベは凄いです

本当に心の底からオススメします

まず、ラノベじゃないです

何言ってるかわからないでしょう

作者の秋山瑞人は「鬼才」とよく言われます

まさに鬼才という言葉が相応しい人はこの人以外にいません

「別れの夜だった。いつかのように、魔法のように姿をかき消して退場するかと思っていたのに。(省略)浅羽に気づいて、ものすごく嫌そうに顔をしかめて、やがて、居直ったような笑みを浮かべて浅羽を見つめ返した。二人姿を照らす、嘘のような月。」

これは「イリヤの空 UFOの夏」最終巻の終盤のある一節から抜き出した文です

もうこの数行だけで才能を感じませんか!?

確かに秋山瑞人の文章は読み辛いです

ですが、独特の言い回しや表現、造語に心を奪われること間違いなしです

ここで表題作
イリヤの空 UFOの夏」について

f:id:cocogoto:20160413224001j:image

【「6月24日は全世界的にUFOの日」新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山でのはりこみに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。おかしくて切なくて、どこか懐かしい…。ちょっと変な現代を舞台に、鬼才・秋山瑞人が描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー、登場】

これは「イリヤの空 UFOの夏」1巻の見返しに書いてあるあらすじです

この時点では「普通のラブコメかな?」くらいに感じますよね

ですが最終巻である4巻の見返しは

【伊里野と一緒に逃げ出した浅羽。二人の前にはかすかな幸せとその幸せを圧倒する様々な困難が待ち受けていた。次第に破壊されていく伊里野を連れ、疲弊した浅羽が最後にたどり着いた場所は…!逃避行の顚末を描いた「夏休みふたたび前・後編」と「最後の道。」榎本によって明かされる様々な謎。伊里野は浅羽の前から姿を消し、そしてその代償のように平穏な日々が戻ってきた……かのように見えた。だが……!感動の最終話「南の島」。(省略)ついに伊里野と浅羽の夏が終わる。ボーイ・ミーツ・ガールストーリー、完結!】

一体何かあったの!?

ってなりますよね

この作品はいわゆる「セカイ系」と分類される作品の代表作とも言われます

つまり、主人公とヒロインが世界の行く末を握っているのです

また、この作品の大きな魅力は主人公の心理描写にあります

主人公の浅羽少年は中学生なんです

その中学生特有の行動だったり、心理描写が狂おしいほど上手く描かれています

簡単に言うと

世界の存続をとるか、伊里野をとるか…ええい!さらって逃げちゃえ!!

みたいな展開が終盤にあるんですが、

ここに至るまで、ここからどうするかの浅羽少年の行動が本当に気持ち悪いくらい上手く描かれているんです

また、全巻合わせて4冊と、少し短めです

ですがその4巻の中に、「青春」であったり、「思春期のもどかしさ」であったり、「一途な想い」だったりがこれでもか!というくらいに詰まって詰まって、詰まっています   

終盤の怒涛の展開もさることながら、ラストの終わり方を僕は非常に評価したいです

僕は最終巻を読み終わった後、少し泣きそうになりましたが決して涙は流しませんでした

その代わり、気持ちの良い満足感とそれと同時に胸にぽっかりと穴が開いたような感覚を味わいました

ストーリーが余りに壮大過ぎます

ですが、それを読者に感じさせるとともに、真っ向から立ち向かっていく中学生の浅羽少年の行動はとても胸に刺さります

ある時は間違えた選択をしてしまい後悔の波にのまれます  

ある時は自分の行動に自信をもち、突っ走ります

この「人間らしさ」がとても愛おしいのです

明るく楽しい作品ではありません

主人公の葛藤と恋の物語です

とても痛いです

ですがそこらへんに転がっているラブコメのような「痛さ」ではありません
 
そこらへんに転がっている厨二設定ラノベのような「痛さ」ではありません  

自らと葛藤した結果の行動による、人間らしさが招いた「痛さ」なのです

僕はカフカの「変身」という小説を読んだ時に思いました

「この世は残酷だな」と

このカフカの「変身」は主人公がある日突然虫になってしまう話です

虫になってしまった主人公を家族はだんだん汚らわしく、邪魔に思い始め、結局は主人公は死んでしまうのです
 
正直、話の暗さ的には「イリヤの空 UFOの夏」とほぼ同じレベルです

しかし「イリヤの空 UFOの夏」を読み終わった僕は

「この世も捨てたもんじゃないな」

と思いました  

この世は良いことばかりじゃないし、自分ばかり貧乏くじを引いている…だけどそれも悪くないのかもしれないな

と思わせてくれました


この記事を見て少しでもこの作品に興味を持ってくれた人がいるならこれほど嬉しいことはありません

ぜひご一読を。

あ、アニメ版も制作されましたが見なくていいです

OPは今世紀に残る出来ですが、本編はカットされた場面が多く、オススメできません

さて、こんなところでしょうか

みなさん、興味があったら

「浅羽直之少年の人間らしく、それでいて痛く、苦しい、世界の存亡と1人の少女を巡る一夏の出来事」

を宜しくお願いします!